平成28年7月1日「中小企業等経営強化法」が施行されました。これに基づき「経営力向上計画」の認定を受ければ、固定資産税が3年間半額や低利融資などのさまざまな支援措置を受けることができます。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/index.html
申請が簡単!
「経営力向上計画」と聞けば、何か敷居が高そうなイメージもありますが、申請書類は実質2枚で、専門機関に頼らずに、事業者様自身で書くことができます。また、窓口に行かず、郵送での申請も可能です。
固定資産税が3年間半額!
固定資産税が3年間半額というのが今回の大きなメリットです。所得税や法人税の優遇はこれまでもありましたが、それは黒字企業に対するものでした。固定資産税は赤字企業も納付しなければならない税金ですので、赤字企業にも課税の優遇措置がなされるという点で大きなメリットとなります。
固定資産税が3年間半額となるのは、以下の要件を満たす設備で、経営力向上計画に基づき取得されたものが対象となります。
- 販売開始から10年以内のもの
- 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するもの
- 160万円以上の機械及び装置であること
具体的なプロセスは以下のとおりです。
- 工業会等による証明書を設備メーカー等を通して入手。
- 事業所管大臣に当該設備の取得を含む「経営力向上計画」を提出し、認定を受ける。申請の際には、工業会等による証明書を必ず添付する。
- 毎年1月の固定資産税の申告の際に、申請書の写し、認定書の写し、工業会等による証明書の写しを申告書類とともに市町村等に提出する。
また「機械及び装置」とあることから、製造業に限った話ではなく、様々な業種にも適用されます。例えば、
卸・小売業:大型の冷蔵庫、精穀設備、販売のために小分けする加工設備、ガソリンスタンド設備など
外食・中食業:厨房設備、食品加工設備など
宿泊業:業務用の厨房設備、業務用のクリーニング設備、浴場用設備など
運送業:可搬式クレーン、可搬式コンベアなど
介護業:給食用設備、介護入力装置など
が挙げられます。
申請書類の書き方について
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2016/160701shinseisyo.pdf
↑これが申請書です。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2016/160714kisairei.pdf
↑記載例もあります。
普段こういった手続きに不慣れな事業者様には少しハードルが高そうなところが、
「4現状認識」、「6経営力向上の内容」でしょうか。
「4現状認識」
①自社の事業概要
これは大丈夫ですね。現在行っている事業についての概要を書けばいいだけです。
②自社の商品・サービスが対象とする顧客・市場の動向、競合の動向
自社の強みや弱み、機会や脅威などの自社を取り巻く環境について記述します。価格・品質・納期などを軸とした現在の顧客に選ばれている理由(強み)、選ばれていない理由(弱み)を書きながら、現在・今後の顧客、市場の動向、競合の動向(機会・脅威)などを記述すればよいでしょう。3つの視点でまんべんなく書くことが大切で、1つのことに絞って書かないようにしましょう。
③自社の経営状況
記載例では財務分析の結果を記述していますが、この「ローカルベンチマークツール」というものを使えば簡単にできます。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/
ここからエクセルをダウンロードします。「入力シート」で2期分の財務諸表から必要な14個の数字を入力すれば、「【診断結果】財務分析シート」に売上増加率など「6つの財務指標」が算出されます。この6つを記載すればいいだけです。財務指標それぞれについての減少要因などを書くとなおいいでしょう。
「6経営力向上の内容」
・事業分野別指針の該当箇所
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2016/shishinbunya01.pdf
たとえば製造業であればこちらを参考にして、例にならって、あてはまるものを選びます。「5経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標」で掲げた目標を達成するために必要な事柄を記載します。固定資産税の減額を受けるものであれば、それを使う内容について選びます。例では、「ホ(1) 設備投資」について選んでいます。
・実施事項
事業分野別指針の該当箇所の内容や、記載例を参考にすれば、比較的簡単に書くことができます。
大きなメリットとしては、固定資産税の3年間半額、申請手続きが簡単の2つが挙げられます。近々設備を導入する予定がある事業者様は申請手続きをして損をすることはありません。手続きをしない方が損だと言えるでしょう。