前回、こちらでバリュープロポジション・キャンバスについて、書きました。
このバリュープロポジション・キャンバスは、ビジネスモデル・キャンバスの一部(下図の顧客セグメントと顧客にもたらす価値)に着目したものです。
今回は、ビジネスモデル・キャンバスについて、ご紹介したいと思います。
ビジネスモデルを考える時に、顧客は誰か、何を届けるのかなど様々な要素を考えます。
ビジネスモデル・キャンバスでは、その要素を9つにわけ、事業全体を俯瞰できるという特徴があります。
9つのブロックは無意味に並んでいるのではなく、関連性の高いブロックが互いに隣り合わせになるように設計されています。
要素間のつながりがわかりやすいので、例えば、顧客を変更・追加することで、残り8つの要素がどう影響したり、どう変更されたりするのかがわかりやすくなります。
下図がビジネスモデル・キャンバスです。
http://businessmodelgeneration.com/canvasにてダウンロードできます。
①顧客セグメント(Customer Segment)
組織の存在理由の根幹となる最も重要な要素です。人や会社組織などが入ります。
男性・女性・中小企業などとするよりも、「◯◯したい主婦」「◯◯したい社会人」「◯◯したい小売店」など具体的な期待や悩みを記述するとよいでしょう。
②顧客にもたらす価値(Value Propositions)
顧客の抱えている問題を解決し、ニーズを満たすもので、製品やサービスを通じて提供されます。
「品質がよい」「便利」「癒される」「◯◯の問題が解決する」など他社ではなく、その会社の製品・サービスを選んでいるのはなぜかを記述します。
③チャネル(Channels)
顧客とどのようなコミュニケーションをし、価値を届けるかを記述します。
チャンネルには、5つの機能があります。
1.商品とサービスの認知度を上げる。
2.見込客に対して商品やサービスの評価を促す。
3.顧客が購入できるようにする。
4.顧客に価値を届ける。
5.購入後の満足度を高めるサービスを届ける。
「展示会」「店舗販売」「法人営業」「ネット販売」などが入ります。
初めての購入は店舗で、2回目以降はネットでなども考えられます。
④顧客との関係(Customer Relationships)
組織が顧客に対してどのような関係を結ぶか、深さ・長さを記述します。
「1度きり」「リーピート」「会員制」などが入ります。
新規顧客獲得なのか、既存顧客の維持なのかで内容も変わります。
⑤収入の流れ(Revenue Streams)
組織が顧客から得られる収入の流れを記述します。
「商品代金」「定期配送や月額などの定額料金」「会員費」などが入ります。
⑥主なリソース(Key Resources)
ビジネスモデルの実行に必要な資産を記述します。
ヒト、モノ、カネ、情報などが該当します。
「工場設備」「◯◯ができる人材スタッフ」「独自ノウハウ」などが入ります。
⑦主な活動(Key Activities)
顧客にもたらす価値を提供する源泉となるような重要な活動を記述します。
「販売活動」「製造」以外にも「丁寧な接客やアフターフォロー」「技術開発」「人材育成」などが入ります。
⑧キーパートナー(Key Partner)
組織の活動にとって、重要なパートナーを記述します。
「仕入業者」「加工業者」「大学」「研究機関」など組織にとってなくはならないパートナーが入ります。
⑨コスト構造(Cost Structure)
ビジネスの運営上必要なコストを記述します。
キーパートナーに支払う費用、主なリソースや主な活動にかかる費用が入ります。
「人件費」「製造原価」「研究開発費」などが入ります。
ビジネスモデル・キャンバスを描くことで現状を整理整頓し、様々な気づきを得ることができます。
なるべく、社内ワークショップなどで多数の意見を聞きながら、作ることをおすすめします。
前述したように、例えば顧客を追加するとどうなるか、今は個人向けだがこれを企業向けに提供すると、その他の要素はどう変化するかなど検討していきます。
現状のビジネスモデルを一度書いたら終わりではなく、検討した内容を顧客へのヒアリングや実践を通して、どんどん変更していきます。
トライ&エラーを繰り返すことで、新たな価値を提供する、次の柱となる事業(イノベーション)を生み出すことができるのです。
コープラスでは、中小企業診断士の有資格者が、専門的な視点を持ちながら、社内ワークショップのファシリテーターなども務めます。
是非お問い合わせください。
ピンバック ビジネスモデル・キャンバスの使い方を知りたい時に読む話 – NPO法人コープラス