2015年12月石油元売りで売上高首位のJXホールディングスと3位の東燃ゼネラル石油が経営統合に合意した。この背景には様々な要因があるが石油元売り大手の出光興産と昭和シェル石油が合併による経営統合への合意が大きな要因である。
これらの2グループの誕生により10社以上あった国内石油元売りはコスモ石油を含めて大手3社に集約されることになった。なお、出光と昭和シェルは2015年に基本合意し2016年10月の統合(後に2017年4月に延期)を目指していた。
しかし経営統合まで1年を切った2016年6月28日、この業界再編の動きに待ったをかけた男があわられた。海賊と呼ばれた男(のモデルである出光佐三の子孫である出光創業家)である。
出光興産の株主総会にて、約33.92%の株式を保有している創業家が昭和シェル石油との合併に対して反対票を投じたからである。(33.92%の株式保有は2/3以上の合意が必要な案件に対して否決できる権利がある。)
誰もがこのまま進むと思っていた国を巻き込んでの業界再編に、’海賊’の末裔が待ったをかけたわけですが、せっかくなので株主総会の決議について簡単に見てみます。
株主総会の決議の種類は、普通決議、特別決議、特殊決議と3種類あり、細かい要件はありますが、普通決議は出席者の過半数、特別決議は2/3の合意が必要になります。
普通決議には取締役の選任がありますので、例えば株を過半数持っていると株主が取締役を選ぶことが出来ます。また2/3以上の株式を持っていると特別決議を可決させることが出来ます。逆に言うと過半数持っていれば普通決議は拒否できるし、1/3持っていれば特別決議は拒否することが出来ます。これが意味することは社長を含めた経営陣が決めた経営判断も株主総会で議決されない限りは進めることはできないということです。
ちなみに普通決議には、計算書類の承認、取締役・会計参与・会計監査人の選任・解任、監査役の選任、役員の報酬や剰余金の配当などがあり。特別決議には監査役の解任、減資、定款の変更、組織再編などの決議事項があります。特殊決議はその名のとおり特殊なのでここでは特に書きません。
もし自分が会社を興すときに他の人や組織に出資を仰ぐなら少なくとも1/3以下にとどめておいた方がいいのかもしれません。